About
四国に位置する香川県は、「うどん」がとても有名です。県民1人当たりの年間うどん消費量は220玉と言われ、もちろん日本一。地元でも毎日のようによく食べられています。香川県内にさぬきうどんを食べさせる店は800軒以上あるといわれ、美味しいうどんを食べに、全国から人がやってきます。一方で、「客を待たせずにおいしいうどんを提供したい」「讃岐うどんはコシが命で、時間を置いたうどんは出さない」「工場でうどんを製造する工程で、切れ端などの部分が出てしまう」などの理由から、廃棄うどんの量も多く、年間推計6000トン(小麦粉換算)以上ものうどんが廃棄されています。
うどん店から日々捨てられているうどんを、厄介な生ゴミとして廃棄処分するのではなく、循環サイクルの環の中に組み入れてリサイクルすることで、さぬきうどん店から廃棄物を減らし、持続可能な循環型社会のシステム・モデルを構築すしようという取組なのです。
うどんをまるごと循環させる
ストーリー
Our Story
「うどん県」として全国的に有名になった香川県。一方で、食べられずに捨てられているうどんがたくさんあることが分かりました。「もったいない」を合言葉に、2012年1月から、産学民官の協働プロジェクトとしてうどんまるごと循環プロジェクトが始まりました。
2012年1月~2013年3月までの期間において、うどん残渣からバイオエタノールを作りうどんを茹でる燃料として活用したり、うどんから出来た液肥でうどんのトッピングであるネギを栽培するなど、着実に実績を重ねてまいりました。
2013年、うどんまるごと循環プロジェクトⅡを開始。従来の「うどんでうどんを茹でる」「うどんからうどんを作る」といった「うどんをまるごと循環させる」というコンセプト。
うどんで作ったバイオガスから電気を作り、その電気を売ると言う新しいチャレンジ、「うどん発電」。
そして2014年。ついに、うどん液肥で育てた無農薬栽培の地元産小麦「さぬきの夢2009」を見事に収穫しました。この小麦を使って「うどんまるごとエコツアー」でうどん手打ち体験を実施しました。
この新しい取組を知ってもらうため、うどんでできた「うどん液肥」を使って、環境教育や食育野分野でも普及を図っています。
Our Vision
うどんまるごと循環プロジェクトは、ご当地のシンボルとして「うどん」を活用していますが、これは食品廃棄物全体の問題です。日本では食べられるのに捨てている食品廃棄物(食品ロス)が500万トンとも800万トンともいわれ、世界中では製造される食品の3分の1が廃棄されているという衝撃的な統計があります。
食品廃棄物の問題は、決して他人事ではなく、身近で大きな問題として人間が向き合わなければならない課題なのです。
食品のほとんどは水分が占め、現状ではこれを燃やすために大量の化石燃料を使用しています。バイオガスを作るために、古代からの叡智である微生物の力を借りた発酵技術を用いることで、自然と調和させることのできる、数少ない環境問題の解決策の一つに成りうると思われます。
当プロジェクトは、うどん残渣だけではなく食品廃棄物全般で応用が可能ですので、全国各地でもこうした取組が広がり、将来的には食品廃棄物はエネルギー・資源となるのが当たり前の社会となることを願ってやみません。